季刊誌『光明』

令和元年-秋-第213号



仏道生きかた手帳



売り言葉に買い言葉

名取芳彦




 大きな心でラッピング

  言葉は売り買いするものではありません。しかし、乱暴な言葉には“売り言葉に買い言葉”、それ相応そうおうの言葉を返したくなるのが人情です。


  まるで、握り拳グー を出してきた相手に握り拳グー で応戦するようなものですが、ジャンケンなら勝敗はつきません。


  そんな時は、パーを出して包んでしまいましょう。ゆとりのある大きな心で、相手の乱暴な言葉をラッピングしてしまうのです。



 年下からの売り言葉

  わが子から「生んでくれなんて頼んでない」と言われたら、「まさか、お前のような子どもに育つとは思わなかったんだ」とそっぽを向いて、お煎餅せんべいでもかじっていればいいのです。多くの子どもは遅かれ早かれ、生んでもらったことを感謝するようになります。ですから、いちいち目くじらを立てるほどのことはありません。


  親切心でアドバイスしたのに「あなたには関係ありません」と言われると、目の前で鉄の扉を閉められた気分になります。そんな時は「関係があるから言ってるんだ。あなたと私は知り合い以上の関係でしょう。同じ日に、同じ場所にいるという関係性だってある。世の中に、関係ないことはないんだよ。みんなつながっているんだ」と、扉をこじ開けてしまいましょう。


  「いちいちうるさいな」と言われたら、「一一いちいちうるさいのは当たり前だ。二二にぃにぃうるさかったり三三さんさんうるさいなんて神武以来じんむこのかた聞いたことがない」と開きなおってもいいでしょう。そこで「まったく四の五のうるさいな」と言われたら「四の五の?合わせて九か?だいたい漢字で五月蠅うるさいと書けないのに偉そうに言うな」と話を折り畳たたんで終わりにしてしまえばいいのです。


  「クソババア(ジジイ)」と言われたら―――「そうだとも。ただし、私のクソは“なにくそ”のくそだ。そうやってがんばっているんだ。少しは私を見習え」と返すのも面白いものです。



 年上からの売り言葉

  年長者に「お前が生まれる前からこの仕事をしているんだ」と自慢されたら、悄気しょげないで「ふん。何を偉そうに。私はあんたが死んだあともこの仕事をしているんだ」と返せば相手は黙ってくれます。


  「井のかわず」とバカにされたら、「“井戸の蛙とそしらば謗れ(笑わば笑え)、花も散りこむ月も射す”って歌をご存じですか」と、相手を唖然あぜんとさせる手もあります。


  何か頼まれた矢先に「あれもやって」と言われたら「いっぺんに二つのことをやれと言われてもできません。あくびしながらたくあんを食べろと言われてもできないでしょ」とユーモアで包んでとぼけてしまいましょう。



  売られた言葉をどのように買うかはあなたしだいです。相手の握り拳がゆるむような対応をする練習をしてみませんか。練習の材料は佃煮つくだににできるくらい、まわりに転がっているはずです。



仏道生きかた手帳掲載イメージ




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